人間と暮らせば 猫の独白その5

もも   寒かったから車のエンジンルームにもぐりこんだ。 朝、つなぎを着た人が私を見つけた。 私は車販売店のマスコットとして働くことになった。 ようやく仕事に慣れていた頃、Mちゃんと出会った。 私はMちゃんが買った車のオプションとなって、 今に至る17年間をここで暮らしている。   サンチョが二代目であるように、 私は二代目ドルシネア・トボーソになるはずだった。 「この丸い体はドロシーじゃない、ももだ!」 お母さんのこの一声で”もも”となった。 ここで暮らすよ... Read More

朗読とチェロの一夜「よだかの星」

  「よだかの星」の朗読とチェロの演奏は 私に花巻の宮沢賢治館を思い出させました。 賢治が使用していたチェロに出会った時、賢治を実感したこと、 宇宙好きにとては宮沢賢治の宇宙観にも心惹かれたことを 映像として思い出しました。 活字の賢治ではなく、生身の賢治に出会った気分になったことを思い出しました。   場所:東京オペラシティ近江楽堂 出演:遠藤ふきこ(朗読) 伊東裕(チェロ)   遠藤ふきこさんが心底ほれ込んでいる若きチェリスト 伊東裕さんと共に開いた朗読とチェロの一夜です... Read More

人間と暮らせば 猫の独白その4

サンチョ   この家でサンチョと命名された。 正式には二代目サンチョ・パンサ。 ドロシー姉さんには偽物サンチョと呼ばれ、心外。   公園で拾われて、動物病院そしてこの家に来た。 動物病院の先生はぶっきらぼうだけど、優しかった。 先生とは僕が虹の橋を渡るまで付き合いが続いた。 あまり行きたくない場所だったが、 義理を重んじる僕は診察台の上では礼儀を忘れなかった。   お母さんは見果てぬ夢を抱えて日々前進だ!という。 見果てぬ夢ってなんだ?と思った。 大地を自由に闊歩することだ... Read More

人間と暮らせば 猫の独白その3

ジャンヌ この家では洋猫は後にも(多分)先にも私だけ。 チンチラミックス。 お母さんはチンチラとは比べ物にならないくらい可愛いって言っていた。 こういうのを親ばかと言うらしい。 サンチョとドロシーと同じ熱帯魚屋さんから少し遅れてこの家に来た。 家族は気品ある私の姿はフランス猫、と思ったらしい。 フランス猫って何のことやら。 そこで、フランスを救い、シャルル7世の戴冠に貢献した ジャンヌ・ダルクのジャンヌが私の名前となった。   私はいつも一人で自由気ままに過ごした。 物事に一喜一憂するなんてこ... Read More

落語そして桂右團治師匠

    寄席に行ってみたいとは思っても、 気後れがして足が向かない暮らしが一変したのは 10年近く前のこと。 新聞多摩版に桂右團治師匠の落語会開催の小さな記事を見つけた。 八王子に文化の交流拠点を作るのが目的という主催者のコメントが あった。 ここなら参加できる。と2か月に1回の落語会に通い始めた。     通っているうちに落語は聴く、笑うという受け身の芸能ではない。 演者は言葉と仕草、そして扇子と手ぬぐいで想像力を喚起させる。 その情景を描いているのは聴き手。 ... Read More

人間と暮らせば 猫の独白 その2 

ドルシネア・デル・トボソ ドルシネア・デル・トボソ。。。 訳の分からないスゴイ名前を付けられた。 いつもドロシーって呼ばれていたから お母さん以外は私の正式の名前を誰も知らない。 なんでもスペインを代表する作家ミゲル・デ・セルバンテスの代表作 『ドン・キホーテ」の主人公ドン・キホーテの 思い姫の名前なんだとか。   サンチョと私は一心同体。 どんな時も離れなかった。 夜も並んでお母さんの腕枕で寝た。 いつもサンチョにお母さん側を取られていたけど、 私は一回も文句を言ったことはない。  ... Read More

音楽劇「獅子吼」

音楽劇「獅子吼」

ししくと読めたけれど、額面通り、獅子が吼える、と受け取った。 その意味を音楽劇「獅子吼」(原作:浅田次郎)で知った。 瞋(いかり)という漢字に初めて出会った。と、思ったら 宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の一節、 「欲ハナク、決シテ瞋らず」 と表現されているとプログラムの浅田次郎氏のコメントで知った。 一体どのようなことだろうと帰宅して、瞋を検索。 プログラムの解説とはニュアンスが違っていた。     老獅子ボスが父から受け継いだ教え「決して瞋るな、瞋れば命を失う」の瞋は検索した瞋。 最後の... Read More

人間と暮らせば 猫の独白その1

サンチョ・パンサ 「温かいクリスマスを迎えたい」という紙がついたケージに 入れられて、熱帯魚販売店の店先にいたことを覚えている。 仲間が2匹いた。   クリスマスが来る前に、もう1匹と一緒に4人家族の一員になった。 僕はドン・キホーテの従者の名前「サンチョ(サンショ・パンサ)」をもらった。 相方はドン・キホーテの思い姫「ドルシネア(ドルシネア・デル・トボソ)」となった。 お母さんがドン・キホーテに心酔しているからだとか。 少し経ってから「僕」ではなくて、「私」だったことがわかったけど、 そんな... Read More

オペラ「夏の夜の夢」を楽しむ

オペラ「夏の夜の夢」を楽しむ

2020年10月10日(土) 新国立劇場オペラパレス     鋭さをオブラートで包んだスタッフの表情に 安心と心地よさを感じました。感染防止が身についたせい?   7か月ぶりのオペラ鑑賞です。 ようやくこの時が来た❕ いい席で聴きたいと、とても強く願う故、 クラシックチケットはいつもS席を購入。 しかし、今回、同行する者が 「S席と言ったってなんでここなんだ?ということもよくある。 A席だっていいんじゃないの?」 私 「・・・」 思いきってA席を指定して購入を依頼した。 大... Read More

華あるジャズメン 華岡将生&須古典明

華あるジャズメン 華岡将生&須古典明

  日時:2020年9月26日(土)14:30~ 会場:日本基督教団ロゴス教会 出演:華岡将生(フルート)須古典明(ギター) 【申込時にお願いしたこと】 連絡先を確認する 自宅での体温チェック チケット代金は来場者が所定の箱に置く(おつり不可) 【当日】 会場内の消毒(椅子、手すり、ドアノブ) 換気のため、ドアは小解放 会場入り口では靴底消毒と手指消毒、体温チェック 掛け声を控えていただき、感動は拍手で伝えていただく お客様同士の会話は少し離れて行う   あれは控えて、これは... Read More