指揮者準・メルクル氏が指揮台に上がったとたん、サントリーホールを繰り返し波打つかのようなメロディが満たしました。メンデルスゾーンの序曲《フィンガルの洞窟》です。指揮者登壇と演奏の始まりが同時で、その不意打ちに一瞬戸惑い、次の瞬間、音の波に包まれる感覚となり、音楽に酔うとはこのことかと、演奏そのものよりしばらくはこの状態にいることに気持ちが傾いていました。これは初体験。メルクル氏はプログラム通してすべてそうでした。
フィンガルの洞窟は連なる柱状節理の壁、アーチ状になった天井が天然の大聖堂と称せられるそうで、... Read More
日本の夏!とはっきりわかる湿度をまといながら赴いた三鷹芸術文化センター風のホール。ホール内は期待通りのほどよい空調、入口を彩る花、花、花。コンサートでよくお会いする方もちらりほらり。始まる前の独特の空気もコンサートの楽しみの一つ。
◇薮田翔一歌曲集
6月に始めて薮田氏のヴォーカリーズ曲『風神雷神』や中原中也の詩をに曲をつけた作品に出会い、どんな方だろうと強く興味を惹かれていました。今回、ご本人から直接お話しを聞くことができました。優しい風貌とすらりとした姿の内側に何事にも囚われない自由、繊細... Read More
明治の幕開けと共に始まった西洋文化を取り入れる動きの中に音楽もあったこと。「音楽取調係」が西洋音楽と日本の音楽を折衷した音楽教育を目指したこと。日本の西洋音楽の礎を築いた山田耕筰の歌曲に捧げた情熱等につての話を始めに聞くことができ、コンサートへ向ける期待の視野が広がりました。
「呂律が回らない」の語源は二種類ある日本音階『呂(りょ)』『律(りつ』この二つがゴチャゴチャに混ざってしまった状態「呂律(りょりつ)が回らない」からきているという話にそうだったのか、思わぬお土産まで手にした気分になりました。
演奏曲... Read More
原宿駅を降りて賑やかな竹下通の一本裏側にあるレストラン「ジャルダン・ド・ルセーヌ」が会場。たった1本道を入っただけで竹下通りの喧噪とは全く別の世界が広がります。ここは『ブラームスの小径』と呼ばれ、ヨーロッパの静かで、緑豊かな一角にワープしたような場所です。
コンサート前にフレンチビュッフェの食事タイム。同じテーブルの方々と交わす何気ない会話もゆかしく、また満席となったレストラン全体の雰囲気も和やかで、既にこの段階で来てよかったと思ってしまいました。
コンサートの幕開けは藪田翔一作曲「風神雷神」。天空には音... Read More