代官山猿楽祭2017『Gent@rrabbiata』

2017年10月9日(月)ヒルサイドプラザ

佐藤望(バリトン)

野村洋光(バリトン)

高柳圭(テノール)

後藤春馬(バス)

中山博之(ピアノ)

 

 

代官山駅から旧山手通りに出て、猿楽祭の出店を覗き、ボルゾイ4頭と出会い(昨年も会った。高貴な姿、フレンドリーな性格に魅了されます)、ヒルサイドプラザで祭りの一環として開かれた『Gent@rrabbiata』、男性ソリスト4人が中山博之氏(ピアノ・作曲)とともに繰り広げるパワフルな男たちの舞台に行きました。猿楽祭でのこのコンサートは今年で4回目となります。

なじみが少ないオペラアリア、ラフマニノフ作曲《アレコ》より「すべては寝静まり、月は美しく輝く」や複雑怪奇な状況で歌われるアリア、ベッリーニ作曲《清教徒》より二重唱「リッカールド!リッカールド!」については舞台背景やアリアの内容を相模原の神童と自己紹介された中山博之氏の機知に富んだ軽妙な解説は聴く楽しみを生み出しました。また、大まかには知っているオペラ全体の話やアリアについては解説で記憶のあやふやさをきれいに消して楽しめました。

男の滑稽さ、切なさ、悲しみ、まじめさを余すところなく表現するアリア、歌曲が並び、男の歌祭りそのものでした。中山博之氏のピアノ独奏「ウィリアムテル序曲」は持てるエネルギーすべてを使いきるこれぞ『男』の演奏!と感嘆しました。

後半の中山博之編曲メドレーは会場全体を笑いの渦に巻き込み、カンツォーネの数々では威勢のよい掛け声が会場全体から湧き上がり、会場内も祭り気分で満たされました。

エネルギーはここではまだ途切れず、アンコール《メリーウィドウ》より「ああ、女というものは」は拍手の後押しもあり、4回(だったと思う。5回ではないと思う)繰り返され、ようやく幕がおりました。

舞台小道具出し入れも全て出演者が行い、その愉快な仕草も演出の一部かと思わせる仕立ては音楽家と観客の距離を縮めました。クラシックはどうも苦手と思う方々にも是非一度足を運んでいただきたい企画の一つでした。