都響プロムナードコンサートド ヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調

指揮者準・メルクル氏が指揮台に上がったとたん、サントリーホールを繰り返し波打つかのようなメロディが満たしました。メンデルスゾーンの序曲《フィンガルの洞窟》です。指揮者登壇と演奏の始まりが同時で、その不意打ちに一瞬戸惑い、次の瞬間、音の波に包まれる感覚となり、音楽に酔うとはこのことかと、演奏そのものよりしばらくはこの状態にいることに気持ちが傾いていました。これは初体験。メルクル氏はプログラム通してすべてそうでした。

フィンガルの洞窟は連なる柱状節理の壁、アーチ状になった天井が天然の大聖堂と称せられるそうで、それは写真を見てもわかります。とはいうものの、実際にそこに立った者にしか味わえない感動には手が届かず、もどかしい思いはぬぐえません。しかし、この序曲《フィンガルの洞窟》はそのもどかしさを取り除いてくれました。風景、潮風、波のうねりを体感できました。ホルンの音色が心に残りました。

 

なじみの深いドヴォルザーク:チェロ協奏曲ですが、2009年ロストロポーヴィッチ国際チェロコンクールで「最も将来性がある若手奏者」賞を15歳で授与されたチェリスト、エドガー・モローの演奏を楽しみにしていました。ちなみにこの年の優勝者は日本人では初めての宮田大さんでした。6月11日東京文化会館でその宮田大さんの演奏を聴きます。これも楽しみです。

エドガー・モローの演奏は「栴檀は双葉より芳し」ということわざを思い起こさせました。そしてこのチェロ協奏曲で今まで意識したことがなかったフルートとチェロの掛け合いに惹かれました。
万雷の鳴りやまぬ拍手にバッハ無伴奏チェロ組曲第3番「サラバンド」が演奏されました。重音に耳を奪われました。

 

 

シューマン:交響曲第3番《ライン》でもホルンの響きが印象に残りました。

今回、20列の真正面の席を確保しました。申し込むのが遅くなり、いいかなと思う席がそこしかなかったからです。チェロ協奏曲を聴く場合、20列は後過ぎました。オーケストラバックのチェロを聴くことを目的にするならば3、4列辺りでもよかったかもしれないと思いました。宮田大さんの東京文化会館は11列を確保しました。どうかな。