朗読とチェロの一夜「よだかの星」

 

「よだかの星」の朗読とチェロの演奏は

私に花巻の宮沢賢治館を思い出させました。

賢治が使用していたチェロに出会った時、賢治を実感したこと、

宇宙好きにとては宮沢賢治の宇宙観にも心惹かれたことを

映像として思い出しました。

活字の賢治ではなく、生身の賢治に出会った気分になったことを思い出しました。

 

場所:東京オペラシティ近江楽堂

出演:遠藤ふきこ(朗読) 伊東裕(チェロ)

 

遠藤ふきこさんが心底ほれ込んでいる若きチェリスト

伊東裕さんと共に開いた朗読とチェロの一夜です。

よだかの星の切なさがチェロの豊かな響きと相まって、

心を震わせました。

朗読に挿入された無伴奏チェロ組曲第1番プレリュード(J.S.バッハ)、

おしまいに演奏された鳥の歌(パブロ・カザルス)、は

遠藤ふきこさんの提案だったと聞きました。

感服しました。

イメージを形にする、ということを学びました。

 

開演と同時に伊藤裕さんのチェロに圧倒されました。

無伴奏チェロ組曲第3番(J.S.バッハ)

無伴奏チェロ組曲(ガスパール・カサド)

近江楽堂はちょっと響きが激しい、、、です。。。

 

「誰の役にも立てずに死んでしまうこと」が辛い、

というよだかの心情は

どうしようもなく切なくて、やるせなく、

心にキリキリと刺さります。

コロナ禍に身を置く今、より深く共振したのだろうと思います。

心が痛いとはこのような状態を指すのでしょう。

遠藤ふきこさんの朗読がその共振を呼んだことも否定できません。

朗読を一人でも多くの方に体験していただきたいと思う

時間でもありました。

 

よだかは自分の羽で空をのぼってのぼって、青い光を放つ星になりました。

誰かに頼るのではなく、自分の道は自分で切り開く姿に胸をうたれます。

できないことを数えない、できることに目を向けよう、です。

よだかの星は特定はされていないけれど、

今までで、肉眼で見えた8つの超新星のうちの一つである

チコの星とも言われています。

哀しいイメージのよだかにも別の顔があるのかと、

救われる思いがします。

 

始まる前にオペラシティにある飲食店で一休みしました。

注文した際、コンサート来場者には割引がある、と言われました。

後でレシートを見たら5%引きでした。

この店舗だけのサービスなのでしょうか。

今までそのようなサービスを受けたことはありませんでした。

より美味しい気持ちになりました。