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都響スペシャル「シェイクスピア賛」

都響スペシャル「シェイクスピア賛」

下記コンサートちらしの書きだしを読んだら足を運ばずにはいられません。

『ウィリアム・シェイクスピアの戯曲は、後世の作曲家たちの創作の源となりました。それゆえ、文学と音楽の関係に造詣が深い大野にとっても、とりわけなじみの深い劇作家。大野自らが選曲したこのコンサートは、2016年に没後400年を迎えたシェイクスピアへのオマージュであり、オーケストラで聴くドラマという趣向です』

もう一つ、足を運ばずにはいられない理由はプログラムに『ハムレット』より「私も仲間に入れてください」(オフィーリア狂乱の場)があったことです。夢空間La Musicaへの出演も複数回お願いしている盛田麻央さんが2013年8月にオフィーリアを務めた《ハムレット》を見ています。オフィーリアの美しさ、危うさ、深い悲しみが切なく伝わってくる素晴らしい舞台でした。評価も高いものだったと記憶しております。今回初めて海外のソリストの演唱を聴く機会となるので多いに興味を持ちました。

プログラム

チャイコフスキー:交響的幻想曲《テンペスト》op.18

トマ:『ハムレット』より「私も仲間に入れてください」(オフィーリア狂乱の場)

プロコフィエフ:バレエ組曲《ロミオとジュリエット》より

あらすじを簡略、明快に解説した資料を読んでから聴いた《テンペスト》には荒れる海の鈍色、愛を感じるパステル色と原色、許しの暖色などさまざまな表情と色合いが旋律となっていました。引き込まれる演奏でした。中でも音で語る弦楽器に引き込まれました。大集団なのに一糸乱れぬ演奏に聴き惚れました。

『ハムレット』より「私も仲間に入れてください」を演唱されたアマンダ・ウッドベリーさんには言葉が見つからないほど感動しました。生きている感動と言っても大げさではない高揚感を手にしました。ハイe(2オクターブ上のミ)を力強く、ストレスなしに歌う姿に鳥肌が立ちました。技術的なことはもちろんですが、オフィーリアの心の揺らめく姿、悲しみがまっすぐ伝わってきました。会場を埋めた聴衆全てが同じ思いだったようで、拍手が鳴り止まず、最後のフレーズを再度披露してくださいました。資料によると2013年にデビューしたばかりとのことです。これからの活躍が楽しみな方です。

バレエ組曲《ロミオとジュリエット》は言わずと知れたお話しです。聴いていると、厳しい縛りの世界 -狭い世界― に生まれた愛のお話しですが、壮大な人間物語と感じました。文学と音楽の関係の一端に触れたように思いました。

つい先日、ある会合でこんな発言を聞きました。「戦争になったら最初に切られてしまうのが音楽だろう。とかつては言い合っていたが、そんなことはない、音楽が必要なんだと改めて思うようになった」 個人的には音楽は欠かせないものと確信してはいますが、都響のこの公演を聴いて、更にその信念に太鼓判を押しました。生きている感動を得ました。

 

オペラ『コシ ファン トゥッテ』

今年に入って2つめのオペラ鑑賞はモーツァルトの喜劇『コシ ファン トゥッテ(女はみなこうしたもの)』でした。1回目は新国立劇場で行われた『オテロ』でした。こちらはアルフォーコこの一員として夢空間La Musicaでも出演を重ねていただいているテノール、澤崎一了さん、今回は同じアルフォーコメンバーの高柳圭さん出演が出演されました。

【登場人物配役】*コメントは当日プログラムより一部引用

フィオルディリージ:砂田愛梨  フェラーラ出身の貴族姉妹

ドラベッラ:金子紗弓

デスピーナ(姉妹の女中、名前の由来は鋭くない棘):横山和美

フェランド(まじめな性格の士官、ドラベッラの恋人):高柳圭

グリエモ(情熱的な性格の士官、フィオルディリージの恋人):岩美陽大

ドン・アルフォンソ(老哲学者、士官2人の友人):立花敏弘

出演者一人一人の才能に魅せられました。アリア、重唱、聴き入りました。コミカルな演技に笑わされました。夢空間La Musicaで彼らとともに舞台を作ってみたいという見果てぬ夢まで見させていただきました。

 

 

【あらすじ】

若い士官二人が「自分の恋人が裏切ることは決してない」と主張するのに対し、「女はみな移り気なもんだ。君たちの恋人だって変わりはない」と揶揄する哲学者との言い争いがお話しの始まり。それぞれの恋人の純愛を試す賭けをすることになり、すったもんだの末、元の鞘に収まり、めでたしめでたし。

〈お互いの恋人が変装して入れ替わっていることに気づかない〉という設定は落語を思わせるお話しで、不倫というやっかいな事柄を題材にしているにもかかわらず、『粋』を感じてしまいました。

 

老哲学者以外は若い音楽家達で構成された舞台は楽団に至まで、この舞台のためだけに集まったとは思えない一体感を醸し出しており、何とも心地よい舞台でした。老哲学者ドン・アルフォンソを演じた立花敏弘氏の存在が多いに貢献しているのかと推察しました。舞台を心から楽しむ客席で度々湧き上がる笑い声も心地よいものでした。

キーボードが奏でるチェンバロの音色も貴族姉妹の心をなぞるようで、ゆかしく、危なっかしい雰囲気がよく表されて、時代背景を思わせるものでした。このオペラは二重唱から六重唱まで様々なアンサンブルで演唱される箇所が多く、そのハーモニーがどれも素晴らしく、重唱にゆったり身を任せる快感はなんとも表現の言葉が見つかりません。また高度な技量が必要と思わせるアリアにはソリスト各人の秘めた力を感じ取りました。彼らの今後の活躍を見守りたいと強く思いました。

シンプルな舞台装置と同じ舞台上で演奏する楽団という設定は、モーツァルトの時代に宮廷で披露されていた形式がそのまま移動してきたかと思う空間でした。このチームでまたオペラ公演を是非企画して欲しいです。

ジャズライブ@ヴィ・マエストロ

ジャズライブ@ヴィ・マエストロ

大人の遊び場『高尾倶楽部』ジャズライブ、出演は華岡将生さん(フルート)&尾崎琢也さん(キーボード)でした。奏者が楽しむ、お客様が楽しむ、この二つが絡まり合うなんとも気持ちのよい時間が流れました。

ジャズ奏法を駆使しながらも、その音、メロディ、リズム、その他全てがこのデュオでしか聴くことのできない、ジャズというくくりではカバーできない音楽世界を体感できる2時間でした。

ジャズのスタンダードナンバー、そしてアット驚く選曲の数々、音楽のジャンルにこだわらない華岡さん、尾崎さんのしなやかな感性が人々を酔わせました。

ヴィ・マエストロの大きなガラス窓の向こうから満月の光を浴びながらのアンコール曲は『見上げてごらん夜の星を』でした。

次回のこの企画は夏の終わりを考えております。

 

 

 

 

 

 

 

ジャズを楽しんだあと、もう一つのお楽しみはヴィ・マエストロのソムリエ、原岡さんが作る『軽食プレート』です。味わい豊かで、軽食を通り越したボリュウムに舌もお腹も満足するプレートです。(写真は小さめのお皿、スタッフ用)

今回のメニュー

酒粕マリネチキンのオーブン焼き

タコ、海老マリネジャガイモ添え

ブロッコリーとインゲンのサラダ

サンドウィッチ(ミニハンバーグ・ピクルス入り卵サラダ)

 

マエストロDE落語「桂右團治落語会」第四回

マエストロDE落語「桂右團治落語会」第四回

高尾倶楽部『マエストロDE落語 桂右團治落語会第4回』を開催しました。演目は「時そば」「二番煎じ」の二席でした。師匠

“まくら”に江戸の時刻の数え方が語られ、知っているようで細かくは知らなかった〈丑三つ〉の解説に納得したり、〈四つ〉の次がなぜ〈九つ〉かは謎だと知り、これから噺の展開はいかに、と前のめりになるところでおもむろに蕎麦屋が登場し、[時そば]が語られ始める。多くの方が知っている噺「時そば」も“まくら”の組み立てによって〈落ち〉の味わい方は千差万別。

全体経営者と従業員の話が〈まくら〉となった「二番煎じ」は最近取り上げられることが多い労働時間に関する報道などをつい思い浮かべてしまう。そうこうしているうちに、骨の髄まで凍える真冬の夜回りの噺に。夜回り中の旦那衆の横着ぶりに笑い、謡い 新内、端唄のようなかけ声の「火の用心」を披露する右團治師匠の透き通る声、うなる声に聞き惚れる快感。冷え切った身体を温める〈煎じ薬!〉と〈しし鍋〉を味わう場面は思わず箸を出したくなる描写、廻り方同心と言葉のキャッチボールも軽妙。「泣くこと地頭には勝てない」がここでも明らかになった。

始めて出会った人との会話も楽しい食事タイム。ヴィ・マエストロのソムリエ原岡さんの手による軽食は多彩な食材が構成する料理。粋な盛りつけも後押しする味わい深い一皿。毎回ちょっとしたサプライズがあり、今回は肉団子。レバーが入っている?使用された肉は?と頭をひねることに。レバーではなく酒粕、使用された肉は豚肉、牛肉、羊肉。レバーとしか思えなかった酒粕、新しい使い方を知ることができました。

新春コンサートその2『椿姫、ドゥミ・モンディーヌ悲恋』

新春コンサートその2『椿姫、ドゥミ・モンディーヌ悲恋』

サントリーホール石鍋香代子氏による19世紀フランスのロマン主義文学、音楽の状況を踏まえて、アレキサンドル・デュマ・フィス作「椿姫」、これをもとに作られたG.F.F.ヴェルディ作曲「ラ・トラビアータ(椿姫)」に焦点を当てたレクチャーと「ラ・トラビアータ(椿姫)」オペラコンサートに行ってきました。会場はサントリーホール小ホール。当日、大ホールはコバケンこと小林研一郎氏指揮の日本フィルハーモニー楽団のコンサートでした。

音楽を聴く機会はたくさんありましたが、作品の成り立ち、時代背景を詳しく知る機会は今までになく、レクチャーはたいへん興味深いものでした。

デュマもヴェルディもモラリストとして、人の心を丹念に描くという点では共通しており、これは両者の生い立ちに深く根ざしている状況に同質のものがあったことに由来すると思われること、ロマン主義は一般市民に根ざした文化であること、社交界に対する裏社交界そこに身を投じている高い教養と会話力を備えた高級娼婦、等々の背景が詳しく解説されました。予定時間1時間ではとても収まりきらないほど濃く、深い内容を少々時間オーバーをしながらも、石鍋氏は立て板に水かと思うほどのなめらかな早口で駆け抜けました。私のメモは追いつかず、またせっかくの内容の半分ほどしか理解できず、少し残念でした。

圭&真理恵オペラコンサートはテノール高柳圭さん、ソプラノ辰巳真理恵さん、ピアノ吉田彩さん。ラ・トラヴィアータから代表的なアリアが披露されました。レクチャーの半分ほどしか頭に入らなかった私ですが、そしてこの作品の成立経過については大まかには知っていましたが、いつもとは聴く気持ちが大きく違いました。聞いたばかりの19世紀フランスの政治情勢、ヨーロッパにおけるフランスの位置づけなども加味され、よく知っていると思っていたこのオペラに新しい命が生まれたような感覚を持って舞台を見つめ、二人の演唱に耳を傾けました。直にお話しを聞くことに大きな意味があると改めて思った次第です。

圭&素敵な紳士

 

 

 

 

 

 

夢空間La Musicaでは高柳圭さんにアルフォーコの一員として、またソロの声楽家として何回も出演していただいております。また彼の出演するコンサートはできる限り足を運ぶことにしています。その高柳圭さんにコンサート終了後、「君の歌を始めて聴きました。大変感激しました。素晴らしい」と話しかけられた紳士に出会いました(上写真)。偶然立ち会えた感想の言葉は私の心の内を静かに興奮させました。

父&真理恵ヴィオレッタを演じた辰巳真理恵さんは俳優辰巳琢郎さんのお嬢様と知りました。お嬢様をふわりと控えめに包む辰巳琢郎さんの父親としてのやさしさが心地よい風景でした。オペラ会場で何回かお見かけしたことがあったのには理由があったのだと納得しました。

 

新春コンサートその1『テノールまみれのニューイヤーコンサート』

新春コンサートその1『テノールまみれのニューイヤーコンサート』

『Tre Tenori 』『al fuoco  』『Mの集い』3つの若手音楽家集団が合体した1月6日ニューイヤーコンサートが開かれました。企画、運営、演奏全てを手がけた10人の男達の真摯で熱くて、少しお茶目な音楽エネルギーが舞台に充満していました。テノールまみれ

幕開けは『Mの集い』のピアノ、ヴァイオリン、チェロが演奏する春の海(宮城道雄)、聴く者の体と心をゆっくり、静かに動かし始める粋なプログラムと独りごち。後半にはドラム&パーカッションも加わり、リズム・音の奥行が増し、前半で温められたテンションはもっと、もっと上へと誘われる快感。テノール6人それぞれの音色で聴かせるオペラアリアで一人一人の個性を楽しみ、トリオ・カルテットでは綺麗なハーモニーとメロディラインを満喫し、初体験テノール6人での演唱には目を見張るばかり。2017年最初のコンサートは座っているだけで様々な感覚を刺激され、音楽家達の遊び心にほんわかと和まされ、お得で楽しい時間だった。10人の男達

会場となった渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホールは満席と言ってもよいくらいの客様で満たされていました。親しく交流を重ねている出演者を応援するという側面から、また、コンサートを企画することに携わっている私としてもこれは大変嬉しいことでした。一つ残念なのは若い観客が少なかったことです。これはここに限ったことではなく、様々なコンサートに行くたびに思います。音楽家達と同世代に語りかける術を磨きたい、彼らにコンサートに行ったときに得られる魅力を伝える言葉を磨きたいと常々考えているのですが、これという答えが未だ見つかりません。

クラシックは特別な音楽、堅苦しい、知識がないと行きにくいと感じることが多いのでしょうか。夢空間La Musicaは日常の中に組み込まれるコンサートを目指しています。音楽家達とリラックスして話ができる場も提供しています。行ってみよう、聴いてみよう、楽しそうと心動くコンサートを企画していく努力を重ねていきます。

国立音楽大学大学院オペラ公演「ドン・ジョヴァンニ」

国立音楽大学大学院オペラ公演「ドン・ジョヴァンニ」

国立音楽大学大講堂で行われた国音楽大学大学院オペラ公演、創立90周年を記念した今年の演目はスペインの伝説上の放蕩貴族、ドン・ファンを題材にしたW.A.モーツァルト作曲、歌劇「ドン・ジョヴァンニ」。2日間に渡って行われる公演は、かつてここで学んだ先輩男性陣と大学院2年在学中の女性陣の組合せで行われた。

自分のワクワクとほどよい緊張を観客と共有しようとするかのような男性陣の演奏と演技に、乗せられる快感に身をゆだねる。

音楽家としてのデビューを間近にした女性陣の初々しく、真摯な演奏と演技に、これから出会うであろう様々な試練にめげることなく、それを糧にして真珠の輝きを放つ音楽家に成長して欲しいと願う気持ちになるうれしさに身を沈める。

Cast

15日 16日
ドン・ジョヴァンニ 近藤 圭 村松 恒夫
レポレッロ 大川 博 大島 嘉仁
ドン・オッターヴィオ 高柳 圭 吉田 連
ドンナ・アンナ 愛樂 和子 藤原 千晶
ドンナ・エルヴィーラ 1幕 西村 知花子 内田 千陽
2幕 都森 冴耶
ツェルリーナ 浅田 眞理子 三浦 梓
マゼット 高田 智士 小山 晃平
騎士長 苅野 賢一 苅野 賢一

管弦楽:国立音楽大学オーケストラ

合唱:国立音楽大学合唱団

チェンバロ:相田久美子(15日) 田代ルリ(16日)

音楽家として成長し、聴く人に“暮らしの中の特別の時空”を提供するために積まなければならない研鑽は多い。舞台、コンサートの経験は彼ら、彼女らの器を大きくするし、器を磨く大事な機会であることは間違いがないと大学院オペラを鑑賞するたびに実感する。それは大学院卒業演奏で出会った音楽家の卵たちの軌跡を見ても確かなことと思う。夢空間La Musicaは演奏機会を一つでも多く提供することを心がけたい。

閑話休題

大学院オペラの注目点は出演者ばかりではない。手渡されるプログラムも趣がある。自分のうんちくに加えたい「作品解説」、かゆいところに手が届く「あらすじと聴きどころ」、出演者の思いをくみ取ることができる「出演者のコメント」を読むのも楽しい。プログラム以外にも関心を向けたのは日本語字幕。作品ドン・ジョヴァンニの魅力を引き出すために推敲に推敲を重ねたであろう字幕に脱帽。

設備の整った1290名収容の大講堂が埋まっている様子を見るのもチケットを買った一人として快感。3時間を越える公演は演劇としても素晴らしく、オペラを志す音楽家達の技量の広さと深さ、そこに向かって精進するひたむきなエネルギーに大いに癒された。若き音楽家の成長の場であると同時に、観客はオペラの醍醐味を享受する場でもあった。

オペラ魔笛

オペラ魔笛

代々木上原にあるムジカーザでのコンサート形式の魔笛は限られた空間を逆手にとって魅力ある演出がそこここに感じられ、観客も舞台の一員かと思える公演でした。

以前、新国立劇場の裏側を見学する機会がありました。そこで裏方さんの仕事のこと、舞台装置のこと、大道具の搬出搬入、保管などなど、オペラ公演を支える様々な仕組み、人間の働きについても話を聞きました。高いチケット代の内訳の一端を改めて確認し、仕方ないと思う気持ち、そうは言っても、その値段では気軽には足を運べないなと下を向いてしまう気持ちが相半ばしました。

比較的足を運びやすいのはコンサート形式オペラです。大がかりな装置はなく、オーケストラボックスもありませんが、今回の魔笛でも企画者、出演者が叡知を出し合って作り上げた舞台を堪能しました。

%e9%ad%94%e7%ac%9b%e3%82%aa%e3%83%bc%e3%82%b1%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%a9オーケストラ担当はバイオリン、チェロ、フルート、キーボードでした。着席した時、えっキーボード?と思ってしまいました。しかし、このキーボードが変幻自在な音色を奏でることで、小さな陣容でも豊かな音楽となることを知りました。

合唱は1階、2階席後ろで行われ、そのハーモニーの美しさ、直に身体に伝わってくる声の振動に魅了され、鳥肌が立ちました。狭いスペースだからこその味わいでした。

夜の女王役、大武彩子さんは国立音大大学院時代と英王立音楽院に留学中に一時帰国された際の2回、夢空間La Musicaコンサートに出演していただいておりますが、修士課程を修了された今回、一回りも二回りも大きくなられた姿を目の当たりにしました。華奢な大武さんとは思えない奥行きのあるコロラトゥーラソプラノで夜の女王の渦巻く怨念と我が子への深い愛を大いに聴かせてくれました。役者としての凄みにも見入りました。

出演者17名が顔を揃えるといっぱいになるメインの舞台の床はこの出演者自らが作ったこと、ザラストロの王冠はその床材の切れ端で作ったこと、日本語訳字幕も出演者の一人が作成したことが紹介されました。%e9%ad%94%e7%ac%9b%e5%87%ba%e6%bc%94%e8%80%85

コンサート形式とはいえ、舞台を完成させるために払われる努力に変わりはなく、披露される演奏はやはり素晴らしいものです。

雅楽初体験

雅楽初体験

2ヶ月に1度開かれる八王子消化器病院ロビーコンサートは毎回入院中の方、近隣の方でロビーは埋め尽くされます。ロビーコンサートとはいうものの、できる限りの設えをされる病院スタッフ、音楽家のコンサートに対する愛情と入院患者の方々、お客様を思いやる姿に心地よさを感じます。今年になってロビーコンサートを知り、通い始めたばかりのわたしは9月末第84回ロビーコンサートで雅楽に始めて出会いました。今回で雅楽は14回目と知り、ロビーコンサート当初から雅楽が組み込まれていたのかと八王子消化器病院の人脈の広さに驚きました。

出演は「十二音会」。千数百年の歴史ある雅楽の伝統を受け継ぎ、それを後世に伝えることを使命としている楽師の有志が中心となり、長年の研鑽を内に留めることなく一歩前に踏み出して雅楽の有する芸術性を、一般に問いかけるべく昭和52年秋に発足した雅楽演奏団体(当日プログラムより)

初心者のための雅楽入門講座から始まりました。超がつく初心者の私にとってはこれが大変興味深いものでした。

・古代から日本にあった歌や舞いに飛鳥、奈良時代に大陸から伝わった歌舞音曲と混じり合い、平安時代に現在のような形になった1300年の歴史を誇る音楽

・現在では日本だけに残っており、進化を続けている

・もともとは耳で聴いて覚えるもので、楽譜はない。暗唱した者が楽譜に落とした。楽譜は暗唱した者でないと読めない

・現在行われている「ラ」音でのチューニングは雅楽からきた

・現代人は雅楽を肩苦しいと感じるようだが、平安朝では大いに楽しんだ音楽。現在行っているヨーロッパでの公演には多くのファンが集まる

・雅楽のうち、楽器合奏音楽を「管絃」という。明治時代に入ってきたオーケストラにこれを用い、管弦楽団と翻訳した

【演奏曲目】

管絃                     舞楽

「黄鐘調音取(おうしきちょうねとり)」    「胡飲酒(こんじゅ)」%e8%88%9e%e3%81%84

「西王楽破(さいおうらくのは)」

「越殿楽(えてんらく)」

【雅楽を聴いて】

メロディは絹薄衣が微風になびいて身体を包むような、おおらかでふわりとしたイメージで、西洋音楽の歯切れの良さとは全く別の楽しみがある音楽。同行した人は雅楽は瞑想するときの音楽によいと感想をもらしていた。舞楽の際に使用される太鼓の大きさとその装飾の美しさに見とれた。“雅”を形にするとあの太鼓になるのかと思った。音楽の違いが「管絃」と「管弦」の漢字の違いに現れていると気付いた。オーケストラを管“弦”楽団と翻訳したのは弓を使うからかな。

入門講座を担当された楽師の方が、雅楽についてはもっともっとお話ししたいことがたくさんあると言われました。想像のつかないさまざまな事柄があるのだろうと思います。ネットで検索するとわかることは多いかとは思いますが、ぜひ楽師の語る雅楽の話をまた聞きたいと思います。八王子消化器病院ではまた来年披露されますが、その時のお話しは「今の暮らしに根付いている雅楽用語」だそうです。

 

バスクラリネット

バスクラリネット

京王高尾線山田駅近くのロゴス教会をお借りして、コンサートを始めて今年で5年目を迎えました。夢空間La Musicaのコンサートは身近なところで、日常の一コマで音楽を楽しむことをコンセプトとして掲げています。今年になり、高尾駅南口のバスロータリーに面した珈琲&ワインダイニング「ヴィ・マエストロ」との協働が始まり、このコンセプトを実現する場が新たに一つ加わりました。ここでは食事付きコンサート、桂右團治師匠の定期落語会を開催します。%e7%ac%91%e9%a1%94%e3%83%9a%e3%83%b3%e3%81%a1%e3%82%83%e3%82%93%e3%83%90%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%a9%e5%90%b9%e3%81%8f%e6%84%9b%e3%81%a1%e3%82%83%e3%82%93

10月2日(日)バスクラリネットランチタイムコンサートを開催いたしました。プログラムはバッハ無伴奏チェロ組曲より4曲、ブラームスのハンガリアン舞曲、ドヴォルザークのスラヴ舞曲など、どなたもどこかで聴いたことがあると思われる曲目が並びました。見るからに重いと感じるバスクラリネットの重厚な音色にはなるほど、なるほどと思い、軽快な節回しには奏者野畑愛さんの力量かと感動を覚えました。無伴奏チェロ曲の後で登場したピアニスト渡辺美佳さんがキーボードの電源を入れずに演奏を始めてしまったのはご愛敬でした。ピアノとキーボードでは鍵盤のタッチも違い、表現が難しいかったと思いますが、聴く者にはそれを感じさせないのは%e4%bc%9a%e5%a0%b4%e9%a2%a8%e6%99%af%e5%ba%83%e3%81%84さすがです。演奏中の笑顔も素敵でした。

ランチタイムを挟んだ後半、チャルダッシュは途中でバスクラリネットからクラリネット(ソプラノ・クラリネット)へ持ち替えての演奏となり、クラリネットの種類の違いを味わう場面もありました。愛の賛歌、埴生の宿などはお客様も思わず口ずさむリラックスした雰囲気がヴィ・マエストロ全体に広がりました。

今回はランチということでドリンクのアルコール類設定はどうでしょうかと迷いましたが、蒸し暑い気候も手伝ったのかビールの人気も高く、またコンサートの合間のリラックスにはワインがお似合いなのか、心配は杞憂に終わりました。ヴィ・マエストロのランチプレートもビールやワインがお似合いのメニューでした。メニューは次の通りでした。

パニーニ(イタリアの具だくさんなサンドイッチ) イチジクと生ハム ピクルス 鶏もも肉とキノコの白ワイン煮込み 茄子の田楽ホタテとタコ添え

 

 

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