9月11日サントリーホール
指揮/大野和士
ソプラノ/林正子
テノール/吉田浩之
バリトン/デートリッヒ・ヘンシェル
合唱/スウェーデン放送合唱団
『敬虔な宗教的感動も、五感を刺激するような目くるめくスペクタクルも、さらにはオーケストラの魅力も声楽の素晴らしさも同時に体験できるハイブリッド・ジャンル』(出典:月刊都響2017年9・10月月号)この文章が9月11日のコンサートの様子を余すところなく伝えています。
カトリックでもプロテスタントでもなく、家の宗派は仏教に属するとはいうものの、日常生活では宗教とは縁遠く、「科学的根拠は何?」と考えがちな暮らしをしていますが、演者の描き出す色のある音楽世界に入り込み、世界はこのようにして作られたと信じたい気分になりました。
一人一人の声を溶け込ませた、ハーモニーは神様のそれかと感じたスウェーデン放送合唱団、独唱者の豊かな表現力(個人的には特にバリトンのデートリッヒ・ヘンシェル氏)、都響のすべやかな演奏に支えられた演奏でした。
豪華な舞台装置や衣装はないけれど、ミケランジェロ作、システィーナ礼拝堂の天井画《天地創造》 -実際には見たことはないけれど- がサントリーホールの天井に描き出されていく様が浮かぶようでした。
終演後、ホール内には静かな低い称賛の声と拍手で埋め尽くされ、ホール内全体に照明がともされた後も席を立つことなく、拍手を続けれらる観客が多かったのも特筆されることと思います。
ホールを背にし、歩き始めた時、「よかったですね」「あまりに感動して、知らない人いだけど声をかけたくなりました」と話しかけられました。これもコンサートの感動を一層深くしたできごとでした。