チェロとピアノの対話Ⅴ

夢空間LaMusicaコンサート第42回

日時:2019年4月20日(土)14:00~

場所:日本基督教団ロゴス教会

出演:佐藤智孝(チェロ) 児玉さや佳(ピアノ)

 

ピアノとチェロの響きで満たされる、もっと言えばチェリスト佐藤智孝さんとピアニスト児玉さや佳さんの音で教会会堂が満たされると感じる皮膚感覚は贅沢の極みとこのお二人を迎えるたびに、自己陶酔の境地に足を踏み入れてしまいます。

両氏の表情、指の動き、呼吸までも直に伝わってくるのはサロンコンサートならではの楽しみです。演奏が美しい波となって聴く者の体に直に伝わるのは響きの美しいロゴス教会会堂だからこそです。

L.v.ベートーベン:ピアノソナタ第14番作品27-2 嬰ハ短調 「月光」

「無とは何か」をどうにか理解したいと思っています。しかし、理解への道のりは遠いと実感します。ピアノソナタ「月光」の第1楽章は無の世界からの音楽と表現されます。ここでいう「無」は感覚として理解できます。音楽の力、はたまたベートーベンの力量なのでしょうか。

名探偵コナン「ピアノソナタ月光殺人事件」、映画「月光の夏」でベートーベンの「月光」を知ったという人が案外多いようです。最近はどうなのかわかりませんが、人気テレビ番組「相棒」でも「おっ」と思うクラシック曲が背景に流れ、その場面の表情が一層豊かになっていると感じることが多々ありました。CM、映画などもクラシック音楽との出会う機会の一つ。

F.ショパン:夜想曲 第8番 作品27-2 変ニ長調

児玉さや佳さんの体を通して、ショパンにそっと語り掛けられているような、甘美で美しい旋律にいきなり包まれます。ショパンの夜想曲(ノクターン)の中でもっとも有名な曲と言われるのも納得できる作品です。この作品も映画「愛情ものがたり」で使われて、広く知られるようになったそうです。ちなみに20番は「戦場のピアニスト」で有名になりました。

F.ショパン:夜想曲 第18番 作品62-2 ホ長調

優美で、華麗な旋律に身をゆだねてしまいます。

即興曲 ~みなさまからお題をいただいて~

会場のお客様から曲にして聴いてみたいイメージを募り、ピアニスト児玉さや佳さんがその場で作曲して披露します。

今回出たお題は「雨模様で風の強い運転する車のフロントガラスに舞う桜吹雪」新元号「令和」でした。令和については様々な解説がなされ、それを聞く機会はたくさんありますが、旋律となった「令和」に接することができたのはこの日、会場に足を運んでいただいたお客様だけの特権でした。

【即興演奏を聴いたお客様の声】

児玉さや佳さんの即興演奏もとても風景が見えて、感情豊かに表現できていて、素晴らしい!!なめらかな指の動きに感動。是非また聴きたいピアノでした。

「令和」の即興演奏素晴らしかったです。ずっと私の体の中に、、、。ありがとうございます。優しく美しい調べでした。

即興演奏を初めて聴かせていただきました。とても素晴らしかったです。言葉では言い表せないくらいの感動をいただきました。ぜひとも又、と思いました。

即興演奏は桜吹雪の舞い散る様が目に見えるようで、技術の高さにただびっくり。頭の中の感情が指先に即出てくるとは、本当にどうなっているの?

「令和」もいにしえの人の振る舞いが目に浮かぶようで、素晴らしかったです。自分の感情が音楽に即できる人、さや佳さんは「幸せ者」ですね。うらやましい~。

 

L.v.ベートーベン:チェロソナタ第1番 作品5-1 へ長調

「ベートーベンは作曲する際、作品第1番は、どれもモーツァルトを意識し、畏敬の念と思い入れをもって作曲している」「チェロソナタ第1番は演奏される機会がほとんどなく、作品自体もベートーベンらしくない、弦楽四重奏曲の第二バイオリンのための曲のよう」とチェリスト佐藤智孝さんのお話が初めにありました。

サロンコンサートでは一般のコンサート会場では聴けない、「へえ、そうなんだ」と思える話を聞くことができるのも魅力です。

演奏後にこの作品を耳にしたことがある方がどの位いらっしゃるか、問いかけてみました。何とゼロ人でした。私はかつて、真空管アンプ、LPレコードでこのチェロソナタをよく耳にしていたことを思い出しました。