日時:2021年9月18日(土)
演目:オペラ椿姫
入間文化創造アトリエ アミーゴ
大正5年、この地に埼玉県繊維工業試験場が仏子模範工場 として建てられた
木造の建物が広い敷地に5棟。
会場となったのはそのうちの一つ。
(写真:施設利用案内より)
今回公演の客席数は50。
案内には「床材 フローリング」と書かれている。
フローリングではこの床の温かみは伝わらない。
「木(もく)」と書いてほしい。
柱に残されているしゃくれや傷も時を刻んだぬくもりがあった。
感動の余韻が消えない
事前にネットで会場を検索した時は
ここでやるの?危惧する気持ちが強かった。
しかし、危惧は自身の固定観念がなせる業とわかった。
余韻がいつまでも残る素晴らしい舞台に出会った時間だった。
2メートル足らず先、同じ目線の舞台
オペラは歌劇。
そのようなつもりはなかったが、今までは「歌」だけしか楽しんでいなかった。と思った。
オペラ歌手は役者でもあることを強烈に認識。
目の前にヴィオレッタ、アルフレード、ジェルモンがいた。
それに加えて、オペラ歌手が舞台にかける情熱の圧を受け取った。
余韻がいつまで経っても消えないのはこの情熱に接したからかもしれない。
オペラグラスというのは覗き込むための道具であって、
オペラを楽しむということからは、はずれているのではないか
という思いが沸き上がってきた。
場を使い切る演出
オペラ公演の環境としては足りないものがてんこ盛りの会場。
これが危惧を抱く余韻だった。
終わって、浅はかな考えだと恥じ入った。
「場を使い切る」という発想が美しい舞台を作る、という
強烈なメッセージを受け取った。
夢空間La Musicaで企画する時、「ない」ことを嘆く行為は
お客様に言い訳をしているのと同じと、今更ながらに猛省。
そこここに光る演出、特にヴィオレッタが命を終える最後の場面、
全編を通して絶妙な効果を生む照明。
折しも台風が関東沖を通過する時間と重なり、
雨音が1幕、2幕では会場内にも入り込んできた。
この雨音はヴィオレッタとアルフレードの嘆き、悲痛を演出していた。
天候までも取り込んでしまった舞台だった。
大満足の椿姫だった。
ちらし、チケットデザインが素敵
チケットに加えられたゴールドに
華やかさと儚さを併せ持った「人生」をイメージした。
伝えたくなる舞台
この舞台で味わった感動をすぐに伝えたい!と強烈に思った。
そして実行した。
オペラとは程遠いのでは?と思う場所でこんなに深い感動を
得た今回の経験は夢空間La Musicaに生かしたい。
「誰に 何を どのように」を明確にするのは自明の理と分かっているが、
「何を」の作り方を根本から考え直そう。
そして来場された方が”すぐに誰かに伝えたい!”と強く思う舞台を目指そう。