人間と暮らせば 猫の独白その5

もも

 

寒かったから車のエンジンルームにもぐりこんだ。

朝、つなぎを着た人が私を見つけた。

私は車販売店のマスコットとして働くことになった。

ようやく仕事に慣れていた頃、Mちゃんと出会った。

私はMちゃんが買った車のオプションとなって、

今に至る17年間をここで暮らしている。

 

サンチョが二代目であるように、

私は二代目ドルシネア・トボーソになるはずだった。

「この丸い体はドロシーじゃない、ももだ!」

お母さんのこの一声で”もも”となった。

ここで暮らすようになって、私は猫らしく人見知り

という術を覚えた。

色々な人に愛想をふりまかない暮らしは

快適、快適、、、だった。

その暮らしがある時、一変した。

お母さんが我々猫族に断りもなく、家でコンサートなるものを始めた。

この時、サンチョ、私、後から来たあんずはカオス。

カオスが何回も襲ってくるから隠れているのは大変。

サンチョと私は生き方を変えた。

誰にでも愛想よくして、こだわりは捨てた。

猫は私だけとなった今、

訪ねてくる人は大・大・大歓迎。

キャットシッターさんは大好き。

コロナ禍とやらでお父さんもお母さんも出かけなくなって、

キャットシッターさんに会えないのが残念なくらいだ。

あんずだけは猫の矜持を保ち続けた。

 

あんずがいなくなって2年。

一人ぼっちがこんなに寂しいとは知らなかった。

私は仲間ロスになった。

私は動物が出てくるテレビとかに全く興味がなかったけれど、

岩合さんの猫歩きで黒猫が写った時、

思わず見入ってしまった。

あんずが箱の中にいた。

食事ものどを通らない10ヶ月は辛かった。

だけど痩せなかった。。。。

 

冬の日差しを受けて窓際に寝転ぶ幸せ。

猫でよかったと思う今日この頃。