もも
寒かったから車のエンジンルームにもぐりこんだ。
朝、つなぎを着た人が私を見つけた。
私は車販売店のマスコットとして働くことになった。
ようやく仕事に慣れていた頃、Mちゃんと出会った。
私はMちゃんが買った車のオプションとなって、
今に至る17年間をここで暮らしている。
サンチョが二代目であるように、
私は二代目ドルシネア・トボーソになるはずだった。
「この丸い体はドロシーじゃない、ももだ!」
お母さんのこの一声で”もも”となった。
ここで暮らすようになって、私は猫らしく人見知り
という術を覚えた。
色々な人に愛想をふりまかない暮らしは
快適、快適、、、だった。
その暮らしがある時、一変した。
お母さんが我々猫族に断りもなく、家でコンサートなるものを始めた。
この時、サンチョ、私、後から来たあんずはカオス。
カオスが何回も襲ってくるから隠れているのは大変。
サンチョと私は生き方を変えた。
誰にでも愛想よくして、こだわりは捨てた。
猫は私だけとなった今、
訪ねてくる人は大・大・大歓迎。
キャットシッターさんは大好き。
コロナ禍とやらでお父さんもお母さんも出かけなくなって、
キャットシッターさんに会えないのが残念なくらいだ。
あんずだけは猫の矜持を保ち続けた。
あんずがいなくなって2年。
一人ぼっちがこんなに寂しいとは知らなかった。
私は仲間ロスになった。
私は動物が出てくるテレビとかに全く興味がなかったけれど、
岩合さんの猫歩きで黒猫が写った時、
思わず見入ってしまった。
あんずが箱の中にいた。
食事ものどを通らない10ヶ月は辛かった。
だけど痩せなかった。。。。
冬の日差しを受けて窓際に寝転ぶ幸せ。
猫でよかったと思う今日この頃。