ニッパー(出典:Wikipedia)
月光仮面のメロディに体を揺らし、”ごっこ遊び”に興じる一方、クラシック好きの父親がかけるレコードのベートーベンやブラームスの交響曲もごく身近なメロディでした。巷の楽曲は外側からの刺激、クラシック音楽は体内を流れる血液といった存在だったと今思います。
中学時代
中学生になって少し経つと、始業前、そして休み時間の教室は初代ジャニーズ4人のメンバーそれぞれのファンが憧れを語り、歌ったりでにぎやかでした。私はあこがれるって素敵なことだなと憧れを語る友人たちにあこがれていました。
高校時代
高校生になると巷はグループサウンズ全盛時代。私はNHKで放送された音楽番組アンディ・ウィリアムズショーに出会い、初めて「憧れ」を実感することになりました。後に大学生となり、武道館で開かれたコンサートに出かけました。クラシック以外で出かけた初めてのコンサートでした。2007年の東京フォーラム公演にも行きました。ホールA(収容人数5000名強)は満席でした。隣りの女性に「これS席じゃないですよね」と声を掛けられました。D席の間違いではないの?と思うS席でした。それでもアンディ・ウィリアムスの80歳とは思えない軽いステップとお洒落なリズム感と伸びやかな声、真っ赤なジャケットと真っ白なスラックス姿を存分に楽しみました。
大学時代
ゲバ学生の乱入から始まった学生生活。男性合唱というものに初めて出会いました。各大学の男声合唱クラブが一番元気だった時代です。ミサ曲を初めて聞いたのもこの時です。大学の男声合唱クラブ出身のダークダックス、ボニージャックス、デュークエイセスとの出会いもこの時期でした。平成12年(2000年)頃、目黒雅叙園でボニージャックスのコーラスを聴きました。変わらない美しいハーモニーでした。曲は「大きな古時計」でした。
社会人になって
私の血液、クラシックと再び深く交わるきっかけは東京芸術劇場で開かれた読売交響楽団のコンサートでした。指揮は宇野功芳氏。曲目は失念しましたが、ベートーベンの曲だったと記憶しています。昭和60年(1985年)頃だったと思います。
仕事にエネルギーを注ぐ一方、休日は人と出会い、存分に遊ぶことを心がけていました。意図したわけではありませんが、音楽家と触れ合う機会が徐々に増え、コンサートに足を運ぶようになりました。
コンサートごとに印象深い事柄があるものですが、待望のスウェーデン放送合唱団出演のこのコンサートは驚きに満ちたものでした。
2017年9月12日(火)サントリーホール
都響定期演奏会Bシリーズ
ハイドン/オラトリオ「天地創造」
[指揮]大野和士
[ソプラノ]林 正子
[テノール]吉田浩之
[バリトン]ディートリヒ・ヘンシェル
[合唱]スウェーデン放送合唱団
(出典:月刊都響 2017 9・10月号)
終演しても拍手は鳴りやまず、ホールの照明が点灯されても席に留まる人が大半でした。コンサートの満足を全員で共有している気分になりました。
外に出て歩き始めた時、見知らぬ女性に後ろから肩をたたかれました。振り向くと
女性「素晴らしいコンサートでしたね」
私「そうですね。大、大満足です!」
女性「感動して、誰かに声を掛けたくなりました。ありがとう。おやすみなさい」
私「こちらこそありがとうございます。おやすみなさい」
コンサートに出かけ、このような経験は後にも先にもこの時だけです。
夢空間La Musicaは八王子でこのような震える感動、初めての感動を呼び起こすサロンコンサートを開くことを目標にしています。