日時:2022年10月8日(土)14時開演
場所:一欅庵
ヴァイオリン 桂川千秋
主催・制作:なごみ会
風習に身を置く
日本独自の風習、十三夜の月見。
中秋の名月十五夜の月見と十三夜の月見、
どちらか一方を欠くと「片月見」と言って
嫌われたそう。
新暦では今年は10月8日。
その10月8日に登録有形文化財と指定されている
一欅庵で樋口一葉作「十三夜」の朗読会が開かれた。
原文朗読
美しい日本語に心身共に芯からほぐされた。
その感動を言葉にするには難しい。
そこでプログラムに記されたことばを引用する。
一葉文学を聴く
和文体とも雅俗折衷体とも言われている
一葉文学。浄瑠璃にも見まごう文体を
声で表すことにより、さらにその魅力は倍加する。
日本語の乱れが指摘されて久しいが、ソロ演奏の
響きにも似た語りは、流麗な一葉文学に息を吹きかけ、
魂を呼び戻す。
日本語の美しさを余すところなく奏でながら、今よみがえる
一葉文学の世界。ピーンと張り詰めた一欅庵の空間で、
観客の皆さまには自在に想像の世界で遊ぶ。
そこには、明治という時代の影と香りが漲る。
(引用:阿部知代・佐藤光生朗読二人会十三夜プログラム)
十三夜の月
ジェームスウェッブ宇宙望遠鏡の活躍等、
科学の目で眺めることが多い宇宙。
今宵は綿々と受け継がれてきた季節、暮らし、
行事の目で見上げる。
佐藤光生さんの淡々とした語りに浮き上がる
登場人物の抑制された暮らしに生きる意味を
希求する姿に重ねてみたくなる十三夜の月。