日時:2020年11月21日(土)14:00開演
場所:サントリーホール ブルーローズ
「喉というのは、神様がひと時貸し与えてくださった究極の楽器。
横隔膜呼吸により自然の空気を吸い込み、声帯を震わせ
体全体を共鳴させて歌を奏でる。歌が自然と一体となる時、
爽快感を伴い喜びが体中に満ち溢れ、とても幸せな時となる。」
プログラムの初めに書かれている吉江忠男さんの言葉に芸術を感じました。
2018年5月に鈴木惇弘氏(バリトン)傘寿お祝いリサイタル「美しき水車屋の娘」に
出会って、歌う芸術の神髄の一つに触れたと強く感動しました。
バリトンという声種の魅力をしみじみ味わい、
経験を重ねなければ表現できない美しき歌声の虜になってしまいました。
80歳かあ、と思った自分の浅はかさを深く恥じ入りました。
この経験があったので、今年80歳を迎えられた吉江忠男さんの
リサイタルチラシを見た瞬間に行く❕と決めました。
傘寿なのにこんなに素晴らしい、ではなく、
傘寿だから伝えられる音楽の魂、
吉江さんだから伝えられる魂に
触れることができました。
プログラム
[前半]
シラーの詩によるバラード
ギリシャの神々
憧れ
人質「走れメロス」
ゲーテの詩によるバラード
歌びと
漁師
野ばら
魔王
[後半]
名歌曲集
愛の使い 「白鳥の湖」より レシュターブ
春のあこがれ 「白鳥の湖」より レシュターブ
さすらい人 リューベック
鳩の便り 「白鳥の湖」 ザイドル
シルヴィアに シェイクスピア=バウエルンフェルト
月に寄せて ゲーテ
湖上にて ゲーテ
羊飼いの嘆きの歌 ゲーテ
ガニュメート ゲーテ
[特別だったアンコール曲]
シューベルト:菩提樹
シューベルト:何処へ?
シューベルト:即興曲 Op.90-3 祈り
菩提樹に歌われている「死」を私は未だよくわかりませんが、
吉江忠男さんの歌を聴いて、わからないけれど、わかる。そんな気持ちになりました。
「祈り」はピアニストイエルク・デームス氏が吉江忠男さんに委嘱された曲であること、
その経緯を舞台で話される吉江忠男さんの話し声は落ち着いたとても穏やかでした。
ドイツ語は分かりませんが、ここに歌われている「祈り」は美しいと感じました。
小林道夫氏87歳、舞台に登場された時、魔王は大丈夫か?と思ってしまいました。
これも自分の浅薄さを恥じることとなりました。ピアノに驚嘆と感動を覚えました。
音楽三昧の三連休の初日、よい時間を過ごすことができました。