滅多に応募しない、そして滅多にというよりほとんど当たったことがなかった懸賞募集にたった1枚の葉書を出したところ、バレエ「真夏の夜の夢」のチケットが当たってしまいました。これこそ「初夏の夢」と勇んで会場へ足を運びました。会場は新国立劇場中ホール。席はS席。公演は所沢に本拠地を置くNPO法人NBAバレエカンパニー。
バレエ公演に足を運ぶのは初めてでした。何もかもが素晴らしく、この楽しさを今まで知らなかったとはなんということだったのだろうと自分に問いかけたほどでした。
バレエは踊る技術に勝るとも劣らない重要な要素はマイムなんだと思いました。舞台の一人一人がマイムで語りかけているのでどこか一点を集中して見ることができず、目が上下左右に引っ張られるようで、そのことにも楽しく興奮しました。バレエを楽しむことに慣れていけば余裕も出るのかと思いつつ、身を乗り出しっぱなしで舞台を見つめました。とにもかくにも楽しかった。
妖精パックの表現力と技術と体力に驚かされ、魅了されました。宙づりだったかと思えば次の瞬間には舞台上にいる、いたずら好きな様子が美しいコミカルな動きで表現され、またちょっとした仕草におっちょこちょいぶり、そしてやさしさが感じられ、心の中で感嘆の声が響きっぱなしでした。
ロバにされたボトムは大きなロバの頭を被った状態で軽やかな踊りをくり広げる姿は美しく、可笑しく、これまた感嘆しました。ロバから人間に戻った時の戸惑いと喜びの表情が離れた客席からもはっきりとわかりました。
子ども達が演じる妖精が物語を語る重要な役割を果たしていると感じました。その踊りは子どもといえども、プロ意識に満たされており、かわいらしい軽やかな踊りで語る姿に魅了されました。妖精王夫妻の養子「とりかえ子」もその役どころを表現する仕草、踊りは秀逸でした。大人、子どもという区別は間違いかなと思ったほどでした。
最後に主役二人、ティターニア(妖精の王女)とオベロン(妖精の王)のパドドゥは繊細大胆、、、、なんと言えばよいのか初心者には表現が出来ませんが、とにかく圧倒される美しさがありました。
どの瞬間も特筆に値するバレエも、さあこれでオシマイ!と思ったところに天井から金の雪が降り注ぎ、またまた興奮のるつぼに引き戻されました。演出にも心を鷲づかみにされました。鷲づかみと言えば舞台前方に降りてきた森のシルクスクリーンも特筆に値しました。スクリーンの向こう側で踊る妖精の子ども達がまるで下草の上で、つまりシルクスクリーンの中で踊っているように見える装置となっていました。
次はチケットを購入してバレーを見に行きます。さて、何に行こうか。まずはチケットをプレゼントしていただいたNPO法人NBAバレエ団かな。
(注)使用した写真はプログラムより抜粋したものです。