ハープリサイタル

バレエ初体験に続いてハープ・リサイタル初体験。読売大手町ホールで行われたグザヴィエ・ドゥ・メストレ氏のハープリサイタル。

通常の管弦楽では客席からはその美しいフォルムの一部を眺めるのみでしたが、舞台の上にグランドハープのみが配置されている、これは刺激的でした。美しい胴の曲線、張られた弦を眺めるただけで、これから始まる演奏を勝手に思い描くのも刺激的な時間でした。

 

 

 

プログラム

マティオ・アルベニス(S.ミルドニアン編):ピアノソナタニ短調

グリーディ:古いソルチコ

イサーク・アルベニス:スペイン舞曲よりアストゥリアス

ハチャトゥリアン:2つの小品より第1曲「東洋的な踊り」第2曲「トッカータ」

タレガ(X・ドゥ・メストレ編):アルハンブラの思い出

デ・ファリャ(M.グランジャニー編):歌劇「はかなき人生」よりスペイン舞曲

(休憩)

フォーレ:ハープのための即興曲変ニ長調Op.86

ドビュッシー(H.ルニエ編):2つのアラベスク

ドビュッシー:「ベルガマスク組曲」より月の光

スメタナ(H.トゥルネチェック編):『我が祖国』より「モルダウ」

プログラム始めの4曲は初めて聴くものでした。グランドハープといえばヨーロッパの貴婦人をイメージしていましたが、それのみではなく、「土着」「民族」「東洋」「激しさ」このような側面もあると知りました。「トッカータ」はハープの胴をたたきながら奏でられ、そのエキゾティックな音色に私が持っているグランドハープに対する狭い、狭い認識の壁が綺麗に取り払われました。

ギターといえばこの曲かと思う「アルハンブラの思い出」は想像を超えた多彩な音色とその音色の奥行き、広がりの美しさに圧倒されました。ピアニッシモのトレモロは心がとろけました。

ピアニスト、パーヴェル・ネルセシアンの「月の光」は忘れることのできない演奏です。ハープの描く「月の光」で表される水面の輝きはどんなかと期待しました。とても美しい和音が印象的で、柔らかな響きが静かな風景を描き出し、ピアノ演奏とは別の世界を見ることができました。ただ、個人的にはネルセシアンの印象が強烈過ぎて、うまく切り分けができませんでした。こんな経験ができたこともよかったと感じました。

アンコールとは思えないアンコール曲に感動しました。「ベニスの謝肉祭」です。ハープとフルート両方のパートを合わせて演奏しました。あまりに聴きごたえのあるアンコール曲からもメストレ氏の楽器、グランドハープに対する姿勢がひしひしと伝わってきました。

グランドハープは弦の材料が音域によって金属製、ナイロン製と使い分けられているとのこと。音の柔らかさはここにあるのか、そしてギターと同じように指で弾くので、奏者の感情がダイレクトに表されることも聴く楽しみの一つかと思いました。

休憩時間にハープを側で見ることができました。弦に色がついており、お洒落だなと思いました。後でネットで調べ、「ド」には赤色、「ファ」には黒色(または青色)の弦が張られていると知りました。お洒落のためじゃないとわかり、知ってみれば当然かと心の中でクスリと笑いました。

ハープ奏者グザヴィエ・ドゥ・メストレ氏は長身でした。当然腕も長く(足の長かった、、、)、才能豊かなことは当然として、その肉体もグランドハープを奏でるべくしてこの世に誕生されたのだと思いました。