マエストロDE落語 桂右團治落語会第十五回

日時:2020年1月25日(土)18:00~

場所:ヴィ・マエストロ

出演:桂右團治

 

人と人の間(あわい)

年4回開催を目途に企画する桂右團治落語会、ジャズフルーティスト華岡将生を中心に折々に開催するジャズライブはコーヒー&ワインダイニングヴィ・マエストロの店主遠藤宣夫さんの協力が大きな支えとなっています。

参加された方々はご夫妻で作ってくださる食事の彩りと味わいのバリエーションを楽しみます。ワインはもちろん、自家焙煎の豆を注文ごとに挽いて入れるコーヒーは食事と共に同席した方々の会話を押し広げます。

夢空間La Musicaは触れ合い、融和、程よい距離感をキーワードに大人の文化交流基地を目指しています。毎回、何かしら気持ちときめく出来事に出会います。

今回は遠くから初めてご来場いただいた方と常連のお客様が同じ海外の地に同じような時期に滞在していたこと、また同じ業種に携わっていたがわかったり、習い事の先生に近しい関係があることがわかったり、この会をきっかけに疎遠だった同級生と再会を果たされたり、などなどいつにも増して人の体温を感じる落語会となりました。

 

相撲甚句

鶴が亀にプロポーズしたところすげなく断られてしまう。その理由は鶴は千年、カメは万年生きるから9000年も後家では悲しいから。という内容の相撲甚句を相撲にも造詣が深い桂右團治が披露してくださいました。

頸か長いのが嫌なの?口の長いのが嫌なの?足が長いのが嫌なの?と必死に問いかける鶴が哀しくも美しく、応える亀の理由になるほどね、と思わずうなずく甚句でした。

桂右團治師匠の張りのある伸びやかな声に聴き惚れました。

 

 

三つのことばで語る落語

三つのことばとは、、、①まくしたてる江戸弁 ②英語 ③関西弁

①大工調べ

江戸の特徴いろいろあれど、火事、喧嘩、中っ腹は代表的なもの、「べらぼう」の語源は師匠の「ごがくゆう(ご楽友=楽屋の友達)」によると1.ご飯をすりつぶすへら⇒ごくつぶし、2.見世物で赤い着物を着て馬鹿な舞を踊るの2説があるそうです。

落語会ではさまざまな楽しい豆知識が楽しく身に付きます。

 

気の短い江戸っ子の代表のような棟梁が店賃を滞納している大工の与太郎に代わって、大家さんに立て板に水のごとく江戸弁でまくしたてるシーンは何と言っても聞きどころです。そしてもう一つ、与太郎に気の短さ丸出しで台詞を教える棟梁のリズムの良さがさすが江戸っ子と思わせました。

語るのは師匠一人ですが、高座には与太郎、棟梁、大家の三人が見えました。

 

②ロボットしずかちゃん

二代目桂枝雀師匠が多く演じられていた「ロボットしずかちゃん」を右團治師匠が許可をいただいて、この落語会で初演を迎えられました。

1985年に小佐田定雄さんが作られた新作落語で1986年に英語落語として初演されたそうです。日本語以外の言語で初演された落語は「ロボットしずかちゃん」が初めてとのことです。

そして桂右團治師匠初演も英語落語でした。

爆笑物のお話に笑いながらも、師匠の美しい発音に聴き惚れました。誰でも知っている単語を駆使すれば流ちょうな英会話ができると改めて思いました。習うより慣れろでしょうか。

 

③完全マスター

演芸作家石山悦子さん書下ろしの新作落語です。

東京人と関西人の気質の違いが東京弁と関西弁の食い違いの面白さとともにわかる、まさに師匠のために書かれた爆笑物の作品です。

フィアンセは関西人、その実家に挨拶に行く東京人の彼女。関西人気質に過剰反応する彼女が取った対策がタブレットを使って関西弁を完全マスターすること。フィアンセ宅で関西弁大暴走、そしてハッピーエンドを迎えます。

お腹の底から笑う落語です。主催者は師匠の初演、そして今回含めて3回聴きましたが、わかっていても大爆笑です。根源の心持は同じでも、その表現の仕方は想像を超えるほど違うこともあると知ります。だからでしょうかお腹の底から笑ってしまいます。

 関西と関東で違うこと豆知識

  1.〇〇兵〇というカップうどんはカップの側面に「E」または「W」の刻印がある

   *EはEast、関東向けのかつおだし。WはWest、関西向けの昆布だし

  2.関西で言うモータープールとは駐車場のこと

  3.関西では「蚊にかまれた」刺されたではなく、かまれたと言う