マエストロDE落語 桂右團治落語会第十七回

日時:2020年11月7日(土)15時開演

場所:ヴィ・マエストロ

出演:桂右團治

 

 

桂右團治師匠渾身の噺にお客様からは

「今日が一番! 次が楽しみ」の声が届けられました。

毎回が一番! ですが、

この落語会再開の喜びがこの声になったと思います。

 

桂右團治落語会は今年3月開催を見送った時、

いくらなんでも大丈夫と踏んで決めた7月も見送り、

今回定員8名でようやく開催にこぎつけました。

10か月ぶりの落語会となりました。

「そんなに時間が経ったとは思えない」と

少し離れて交わされる会話はいつもと変わりなく、

節制と遊び心がうまい具合に交じり合っていました。

 

演目は三題
海賊退治
時うどん
寝床

 

「海賊退治」

講談から来た噺です。

生の講談に初めて出会たのは3年前、築地で行われている師匠の定期落語会です。

12月でした。6代目神田伯山さんが神田松之丞と名乗っていた時です。

演目は「赤穂義士銘々伝~勝田新左衛門」

びっくりしました。テレビ番組などとは比べ物にならない面白さだ❕

講談の知識は全くありませんでしたが、はまってしまいました。この後、

玉川太福さん、国本はる乃さんの講談を聴くこととなります。

八王子いちょうホール大ホールで神田松之丞さんの講談を聴きました。

講談は800人もの人と共に聴くものではないなあ。

 

「海賊退治」も瀬戸内海で繰り広げられる活劇、

登場する面々の風体、様子が映像として

浮かび上がりました。

師匠を前のめりで見つめました。

お客様の背中もそれを物語っていました。

 

「時うどん」

江戸時代における士農工商それぞれの暮らし

世の中の決まり事を知っていると落語を味わって聴く面白さが倍増します。

この噺は時の数え方を知っていないと笑えません。

江戸は蕎麦、関西はうどんと言われます。

うどんですぐに思い出すのは学生時代に南紀白浜で食べたうどんです。

つゆの色、味わいが新鮮でした。三角の稲荷ずしにも出会いました。

土地の魅力が素のままあった時代だったと懐かしく思います。

その次に思い出すのは高松市屋島のざいごううどん本家わら家です。

 

「寝床」

「明治、大正時代の旦那衆の楽しみは何だったか」と師匠から問いかけられ、

皆???

答えは義太夫。
「ととさんの名は十郎兵衛、
かかさんはお弓と申します」

師匠の透き通った声が真っ直ぐ伸びてきました。

傾城阿波鳴門(けいせいあわのなると)

知らなくても、この一節だけは

知っている、という方が多いと思います。

私もそうです。

義太夫の床本(ゆかほん)は演者が自分で書くそうです。

大きな字で書くので、文庫本3ページ半位の

分量でも、分厚い本になるそうです。

独特の節回しで語る義太夫は

落語で話せば10分の内容が

なんと2時間半の演目となるそうです。

 

国立演芸場で人形浄瑠璃を見たことがあります。

太棹三味線(ふとざおじゃみせん)の力強さと

低音に魅せられました。

お腹に響く重厚で迫力ある音は体全体にずしんと響きました。

太夫の語りは純正日本オペラだなと思いました。

人形浄瑠璃の知識がない私でも、解説イヤホンを借ると、

なるほど、なるほどと納得しながら鑑賞できました。

 

新型コロナウィルスの感染状況をみながら、

可能であれば来年1月に第十八回を開催したいと目論んでおります。