当たり前が消えた
2020年5月まではスケジュール帳にコンサート予定が並んでいました。5月以降も12月までいくつかはスケジュール帳に記入していました。
時間とお財布が忙しく、楽しみと、どうしようかが混然一体となる。。。それでもやっぱり楽しい❣と思う日々が2月までは続いていました。
3月以降は中止、延期、公演は行うが払い戻しもするというお知らせを受け取るようになりました。行く側の人間としても、どうしようか、、、と感染の可能性という2月までは考えもしなかったことで悩むようになりました。
コロナ禍で知った企画者、出演者の心意気
ミュージカル「ナミヤ雑貨店の奇蹟」/俳優座劇場
敬愛する石鍋多加史さんが浪屋雄治役で出演されるということもあり、とても楽しみにしていた舞台でした。公演は行われたのですが、六本木に行く勇気が足りず、チケット代金寄付とした公演です。
寄付のお礼状が届くことは知っていましたが、A41枚の文章が届くものと勝手に思っていました。しかし、届いたのは柔らかなふくらみのある角形2号(240㎜×332㎜)の封筒でした。
入っていたのはこの4つ
一字一字に、行間に、出演者とスタッフの気持ちがにじみ出ている挨拶状
出演者一人一人のつぶやきが聞こえてきそうな舞台の写真
ユニークなプログラム
本番収録のスペシャルCD(6曲収録)
劇団員による手作りのマスク
舞台にかける尽きることのないエネルギーをこんな形で表現できる人々に出会えたのは、一日も早く排除したい新型コロナウィルスが蔓延し始めたからです。禍福糾える縄の如し・・・
夢空間La Musicaもこのようなエネルギーを持っているか振り返りました。お客様に見える形になっていることが肝要と思いました。
やっぱり生のコンサート
上野deクラシック/東京文化会館大ホール
安田結衣子(ピアノ)
3月に小ホールで開催されるはずが、7月に会場を大ホールに移して開かれたコンサートです。
オペラ「ロミオとジュリエット」からアリア2曲、フランス歌曲、日本歌曲のプログラムを堪能しました。
ピアノ伴奏の美しさに聴き惚れ、その伴奏にのる、伴奏を引っ張るソプラノに身を沈める快感に酔いました。
中でもこの演奏は私を別世界に連れて行きました。
別宮貞雄作曲「さくら横ちょう」
同じ歌詞で中田喜直氏も曲を書いているさくら横ちょうです。
ソプラノ盛田麻央さんとピアニスト安田結衣子さんしかいない広い舞台も、5階席まで入れると2000人を超える観客が入る大ホールも、さくら横ちょうで満たされました。
盛田麻央さんの歌の世界です。
初めて体験するさくら横ちょうでした。
生きた浮世絵と思いました。
ソーシャルディスタンスを考慮した席配置のため、そちこちに存在する空間さえも意志を持っているように思え、空席という寂しい感じは全くしませんでした。演奏者と観客の間に流れる厚みのある空気も心地よく、観客が無意識のうちにも響感し合って流れる空気が聴く楽しみをより膨らませます。
生の感動は何にも代えがたい❕
コンサートが終わった時、後ろの座席の会話が聞こえてきました。
「きょうは誘っていただいてありがとう。初めてクラシックの歌を生で聴いたけど、こんなに感動するものとは知らなかった。こんな素晴らしい時間を過ごせるとは知らなかった。次も是非誘ってね」
八王子でも同じような方がたくさんいらっしゃるはずです。夢空間La Musicaの情報を届ける道筋をもっと増やす必要があることをひしひしと感じました。