桂右團治落語会 - マエストロDE落語 第八回-

日時:2018年2月24日(土)18:00開演

場所:コーヒー&ワインダイニングヴィ・マエストロ

出演:桂右團治

桂右團治師匠がどのようなお話から落語に入っていくのかも毎回興味を引く点です。

師匠の枕話yorozuya

今年、八王子では1月22日は積雪39センチとなり、2月2日には2回目の雪が降り、例年より寒く感じます。師匠のお話は時節に関することから始まりました。

2月の別名は「着更着(きさらぎ)」、さらに草木が芽生え始める月ということで「生更木(きさらぎ)」とも呼ばれるという豆知識。寒さが続く今、健康を損なわないため、つまずいたり、転んだりせずにいつまでも元気で暮らすためには「あ~」とお腹から声を出すと効果があるという健康情報。これを実行すると喉が丈夫になり、風邪を予防する、また、腹筋を鍛えることができるので、体幹が鍛えられ、転倒予防になるそうです。とは言え、ただ「あああ~」では面白くないので、「ふるさと」を「あああ~」だけでみんなで歌ってみました。毎日続けることが大事だそうです。やってみると、体内に健康の通り道ができた気分になりました。通り道を通過するのは“健康”ばかりではないようで、一席目の噺につながります。

 

落語「転失気」

知ったかぶりをした当人はつじつま合わせに振り回され、周りには失笑され、いいことは一つもない。住職が「転失気(てんしき)」(=おなら)を知らないと言えなかったばかりに起るてんやわんやは他人事とは思えません。周りから○○と評価されているとそれが重荷となり、なかなか素の自分をさらけ出せないのはいつの時代も同じ。住職は「転失気(てんしき)」とは寺では盃をさす隠語と言い張りました。

鮨屋で「むらさき」と言えば「醤油」、「あがり」と言えば「お茶」のように、その社会(場)で通用する言葉があります。お寺での隠語をネットで調べてみました。

般若湯=お酒

天蓋=蛸

赤豆腐=マグロ

御所車=卵

踊りっこ=ドジョウ

なるほど、なるほどと感心しました。

ちょっとお話

マエストロDE落語のもう一つの目玉、碩学の氏、小松先生の落語の合間のよもやま話。

IT時代と言われて久しい昨今、AI(人工知能)の情報が飛び交う時代です。その進歩が目覚ましい今、人間がすべきことは何か?「創造する」ことに人間の能力を大いに使うべし、と話される小松先生の語り口にはAIでは決して再現できない先生ならではの息遣い、温度、メロディーが伝わりました。ではどんな道がある?続きは次回のお楽しみ、、、となりますかどうか。お話の玉手箱、びっくり箱のような小松先生です。次回何が飛び出すかはAIでも予測不能です。

落語「柳田格之進(柳田の堪忍袋)」

「私はあなたを信じます」と言いうことはできても、それを実践するのは難しいです。は番頭徳兵衛は主人の命には必ず従うと信じていたのか?万屋源兵衛は心底から柳田を信じていたのか?太宰治の「走れメロス」を思い出しました。

「確かにここに置いた!」と確信している品物が全く別のところから出来ることは私の場合、日常茶飯事。人間の記憶は不思議。自分の脳であっても、自分ではどうすることもできない。ここはAIに軍配が上ります。

柳田格之進は源兵衛と徳兵衛の首をはねる代わりに将棋盤を真っ二つに切ったというが、謹厳実直の上、それほどの使い手だったのだろうか。将棋盤の厚みはどのくらいだろうとウィキペディアで調べたら2寸から9寸(約6センチから30センチ弱)でした。両替商の万屋源兵衛宅の将棋盤はどのくらいの厚みだったのだろう、一刀両断に切れる厚みはどのくらいかなと噺であることは承知の上で知りたい思いました。

斜に構えて聴くと突っ込みどころ満載の噺ですが、桂右團治師匠演じる謹厳実直な父柳田格之進と吉原へ身を落とそうとする娘きぬとのやり取りはいつ聴いてもほろりとさせられます。番頭徳兵衛が湯島の切通しで贅沢な拵えの侍姿となった柳田格之進に出くわした時の狼狽ぶりを表す語り口、表情は可笑しくもあり、天罰だと格之進より先に成敗する気持ちも沸きます。

食事タイム

春がやってくることを知らせるメニューが並びました。隣り合った方との話も弾みます。一人で参加してもみんなでテーブルを囲み、話がはずみます。師匠も輪に入って、にぎやかなひとときです。

生ハムとイチゴ

鶏つくね

菜の花おひたし

蕪のツナ和え

カリフラワーと隠元のマスタード和え

エビと蛤の酒蒸し

ドライトマト

二色おにぎり