マエストロDE落語「桂右團治落語会」第六回

高尾駅南口コーヒー&ワインダイニング、ヴィ・マエストロのキリリと効いた空調は歓迎のしるしと誰もが納得した7月22日夜、恒例となった「桂右團治落語会」を開催いたしました。

 

今回の演目

夏泥

「落語家は高座に座り、その日のお客様を見て演目を決めます」ここで一呼吸置いて「本日は泥棒の噺にします!」とのっけからうわっとのけぞり、思わず笑ってしまいました。―泥棒、けちん坊の噺をしても、悪口を言っても客席から文句が出ることはないというのが落語の世界の習いであるとの種明かしもありました―

もう一つ、「江戸の三大道楽と言ったら何?」という師匠の問いかけに「飲む、打つ、買う!」と勢いよい答えが返されました。残念ながら違いました。江戸の三大道楽は「園芸、釣り、文芸」と教えていただきました。「園芸」は椿、菊が対象だったそうです。「飲む、打つ、買う」は落語に出てくる三大道楽だそうです。初めて知りました。その中の「打つ」に囚われてしまっている長屋の住人と泥棒の駆け引きが『夏泥』です。

泥棒に入ったのに長屋住民のあまりの悲惨な様子、その住民、バクチ好きの大工との話のやりとりをする中で泥棒は三十銭、二十銭と懐からぐうたら大工に与え、ついには有り金全てを与えてしまい、最後には「陽気の変わり目にもういっぺん来てくれ」と言われてしまう。

この泥棒、そこそこにお金を持っているということは腕のいい泥棒なのか?そんな泥棒を手玉に取るぐうたら大工は一枚上手なのか?どちらもちょっと暮らす方向を変えると別の人生がありそうだが、これが落語世界の妙味でしょう。

子わかれ

酒癖、女癖の悪い腕利き大工熊五郎が別れた女房お光、子どもの亀坊と再び一緒に暮らすまでの行きつ戻りつの人情噺です。「子わかれ」は「上」「中」「下」の三部構成の内の「下」に当たります。

まともな暮らしに戻り、大工としての評判も取り戻した熊五郎のお光と亀坊に寄せる焦がれる思い、おませとあどけない子どもらしさが入り交じった亀坊の言動、お光のいじらしさそれぞれを仕草、表情、言葉で演じ、語り分ける様子は師匠の真骨頂に触れる思いがしました。同時に落語という演芸の奥深さに心を打たれました。高座に熊五郎、お光、亀坊三人がいました。

この落語会には会食時に、最先端科学技術からギリシャ哲学に至までどんな切り口でも楽しく、わかりやすくお話しをされる『碩学の長老』と密かに名付けさせていただいた「小松先生」にいつも参加いただいております。先生は桂右團治師匠の応援団です。そこで今回から落語をより楽しむ為のお話しをしていただくことになりました。

第1回落語入門

天照大神が天岩戸から出て来るきっかけになったのは「なぜこの私がいないのにみんな笑っているのだ」と気になったことだったというお話しから神様と笑いのつながりについて。また、現在落語家が羽織りを来て高座にあがる謂われなど短い時間に落語入門のエッセンスをギュッと濃縮して、楽しくお話しいただきました。

今回は5分という設定でした。次回からは「10分で知る落語」といたします。系統立ててお話しいただく予定です。

 

落語会の後の会食は毎回のことですが、ここで隣り合った方同士で話が弾みます。平服に戻られた師匠とお客様一人一人との交流も目玉です。

 

 

 

 

今回のプレート