雅楽初体験

2ヶ月に1度開かれる八王子消化器病院ロビーコンサートは毎回入院中の方、近隣の方でロビーは埋め尽くされます。ロビーコンサートとはいうものの、できる限りの設えをされる病院スタッフ、音楽家のコンサートに対する愛情と入院患者の方々、お客様を思いやる姿に心地よさを感じます。今年になってロビーコンサートを知り、通い始めたばかりのわたしは9月末第84回ロビーコンサートで雅楽に始めて出会いました。今回で雅楽は14回目と知り、ロビーコンサート当初から雅楽が組み込まれていたのかと八王子消化器病院の人脈の広さに驚きました。

出演は「十二音会」。千数百年の歴史ある雅楽の伝統を受け継ぎ、それを後世に伝えることを使命としている楽師の有志が中心となり、長年の研鑽を内に留めることなく一歩前に踏み出して雅楽の有する芸術性を、一般に問いかけるべく昭和52年秋に発足した雅楽演奏団体(当日プログラムより)

初心者のための雅楽入門講座から始まりました。超がつく初心者の私にとってはこれが大変興味深いものでした。

・古代から日本にあった歌や舞いに飛鳥、奈良時代に大陸から伝わった歌舞音曲と混じり合い、平安時代に現在のような形になった1300年の歴史を誇る音楽

・現在では日本だけに残っており、進化を続けている

・もともとは耳で聴いて覚えるもので、楽譜はない。暗唱した者が楽譜に落とした。楽譜は暗唱した者でないと読めない

・現在行われている「ラ」音でのチューニングは雅楽からきた

・現代人は雅楽を肩苦しいと感じるようだが、平安朝では大いに楽しんだ音楽。現在行っているヨーロッパでの公演には多くのファンが集まる

・雅楽のうち、楽器合奏音楽を「管絃」という。明治時代に入ってきたオーケストラにこれを用い、管弦楽団と翻訳した

【演奏曲目】

管絃                     舞楽

「黄鐘調音取(おうしきちょうねとり)」    「胡飲酒(こんじゅ)」%e8%88%9e%e3%81%84

「西王楽破(さいおうらくのは)」

「越殿楽(えてんらく)」

【雅楽を聴いて】

メロディは絹薄衣が微風になびいて身体を包むような、おおらかでふわりとしたイメージで、西洋音楽の歯切れの良さとは全く別の楽しみがある音楽。同行した人は雅楽は瞑想するときの音楽によいと感想をもらしていた。舞楽の際に使用される太鼓の大きさとその装飾の美しさに見とれた。“雅”を形にするとあの太鼓になるのかと思った。音楽の違いが「管絃」と「管弦」の漢字の違いに現れていると気付いた。オーケストラを管“弦”楽団と翻訳したのは弓を使うからかな。

入門講座を担当された楽師の方が、雅楽についてはもっともっとお話ししたいことがたくさんあると言われました。想像のつかないさまざまな事柄があるのだろうと思います。ネットで検索するとわかることは多いかとは思いますが、ぜひ楽師の語る雅楽の話をまた聞きたいと思います。八王子消化器病院ではまた来年披露されますが、その時のお話しは「今の暮らしに根付いている雅楽用語」だそうです。